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2014年6月18日水曜日

「重いクラウド」の話 
~クラウドをビジネスで活用するために~

今週のBe.Cloud通信の担当は熊谷です。
先月まで晴々しいさわやかな空だったのに、梅雨時に入るとずっしり重い雲が垂れこみ、外出もするにも気が重くなるところだと思います。今日はこの「重い雲=クラウド」についての話。

【クラウドコンピューティングの定義と特徴】
「クラウド」とは何か?と聞かれたらどのように説明します?
クラウドのコンセプトが出てから10年も経過していないので、いまだ、統一された定義が社会に浸透していないようです。実際、ベンダーが提供する「クラウド対応」と謳うサービスを「あ、これがクラウドか!」と認識するお客様もいるぐらいで、様々な捉え方があるようです。

米国国立標準技術研究所 (National Institute of Standards and Technology、以下、NIST)においては、以下の用語で定義され、5つの基本的な特徴があることが前提とされています。日本語では、情報処理推進機構(IPA)のサイトで公開されています。
http://www.ipa.go.jp/files/000025366.pdf

★NISTによるクラウドの定義
共用の構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手続きまたはサービスプロバイダとのやりとりで速やかに割当てられ提供されるもの。

★NISTによるクラウドの5つの特徴
「オンデマンド・セルフサービス」
「幅広いネットワークアクセス」
「リソースの共有」
「スピーディーな拡張性」
「サービスが測定可能」

【クラウド的ではない既存の「仕組み」】
今回、この定義を引き合いに出したのは、最近聞いた以下の2つの話があったからです。

★開発とリリース
上場企業における新たなシステムでのクラウド導入のプロジェクトで、導入事例も多い某有名なPaaSを基盤に、自社の開発部門と外部のSIerを巻き込みながら開発を進めています。このシステム、本番稼動してからの運用は、運用部門と別のSIerが担当することが既に決まっています。
開発と運用を明確に分けた理由は、J-SOXなどのコンプライアンス対策によるもの。同じPaaS基盤を使いながら開発環境と本番環境は別々、かつ移行作業を行うときにはまたさらに別のSIerが入ります。「スピーディーな拡張性」がクラウドの特徴でありながら、この体制では、従来のシステム同様、変更管理プロセスが必要になります。

★従量課金
導入事例も多い某有名なIaaSを使うケースで、クレジットカード支払しかできないため、調査時は、担当者の立替で課金処理を実施、しかし、ある程度システムのイメージが完成、本番稼動を想定すると、毎月使用料が変動する課金体系では、年間の予算が確定できないことや、調査用と本番用のシステムの請求を分割できないことなどが、ネックとなっています。「オンデマンド・セルフサービス」「サービスが測定可能」でありながら、なかなか話しが進まない。これって「クラウド」が適用された現場の姿なのでしょうか?

【クラウドを活用するためのエンタープライズの「壁」】
IT技術者の多くは、クラウドの拡張性や操作性に共感し、企画担当者もコスト削減やサービスリリースのスピードアップが図れることに共感しています。然しながらビジネスの仕組みは従来通りで技術としてクラウドを採用したということはありませんか?

前述の開発と運用を分けていた企業が、新しいサービスを追加した時に、開発部門と運用部門が連携した速やかなリリースが可能でしょうか?メジャーバージョンアップのリリースプロセスとしては望ましい体制かもしれません、しかし、必要とされる機能を細かく提供するスピードを実現するには難しいと思います。「技術的にこのPaaSが求める機能であった」ということもありますが、もしかしたらそれは、オンプレのシステムを採用していても同じことがをできたかもしれません。

スピード、拡張性など「軽快さ」が特徴のクラウドを、わざわざ「重い」仕組みに落とす必要はありません。クラウドは技術としてのコンセプトが、これまでと違う以上、ビジネスのあり方そのものも変えることができます。次回は、このクラウドの技術が、クラウドらしい仕組みに変えるためのノウハウを紹介したく思います。

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