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2014年9月11日木曜日

ストレージで実感するクラウドのメリット ~コストと運用のトレードオフ~

 お盆は毎年実家に帰省する熊谷です。実家が山間の寒村にある私のような者にとっては、帰省は都内の狭い我が家にたまったものを整理して、段ボール箱に詰めて車で移動するための定例イベントみたいなものです。倉庫となる田舎の農家は、モノだけ置くならばほとんどコストがかからない、都合のよいストレージのようなものなので。もちろん使用料代わりに親へのお土産は持参しますが。今回はこのストレージについての話です。

安くなり続けるクラウドストレージ
SaaSIaaSなど形態にとらわれず、クラウド利用の検討にはまずコスト比較から入ることが多いですが、単純なデータの置き場としてのストレージとしての検討は、最もコスト効果が高い分野かもしれません。社内利用するためのNASを購入する、もしくはデータセンターで契約したストレージサービスに対して、クラウドストレージにコスト効果が高いのは、以下の理由があります。

●専有ストレージvs共有ストレージ
「規模の経済」と言われる通り、自社専用でストレージを購入するよりも他社との共有の方がストレージ総量のコストと、ハードウェアのベンダーサポートなどの周辺コストの両面を抑制することが可能です。

RAID構成(RAID 5 vs RAID 0+1
専有ストレージの場合は特にRAID56などの構成により、150GBのディスクでも同じサイズのディスクを34台による構成とするのが標準ですが、クラウドの場合はI/Oの速度を落とさないようにRAID構成をしない、もしくはシンプルな構成とするのが一般的です。それ故に必要となるディスクが少なく割安となります。

●運用サービス(バックアップ、監視)を構築するvsサービス利用する
クラウドは単純なストレージ置き場のみならず、周辺サービスとしてバックアップや監視サービスを付与していいるケースが多いため、運用コストを含めて考えると商用バックアップツールを使わずに運用できるため、クラウドストレージにメリットがあるケースが多いです。前出のクラウドにおいてRAID構成が高度でない点は、運用にオープンソースや仮想技術でのスナップショット技術などを活用してトレードオフとしている面もあります。

●固定額の保守費用vs従量課金の使用料
データセンターの中の人が専用ストレージを用意するSE費用を必要とする代わり、クラウドストレージは構成変更をソフトウェアで自動化しているため、運用コストが安価になります。その仕組み故に、実際にストレージのサービス利用状況に応じて従量課金形式の使用料で明確なサービス価格を出すことができます。

上記のようなコスト構造の違いから、パブリックラウドのストレージサービスは通常のデータセンターのサービスよりもかなり割安な価格帯となります。かつ市場の競争により、何度も価格テーブルの見直しがされています。

例えばAmazon Web Service(AWS)におけるストレージサービス(S3)の価格についてみると、過去に以下の通り価格を下げております。ここまで落ちると、どのような国内データセンターサービスにおいても、専有ストレージでRAID 51TB 3,000円で提供するのは難しいでしょう。

(いずれも1GBあたりの月額使用料(最初の1TBまで、米国東部リージョン))
 2010111日 $0.140 (1ドル100円の場合、1TB14,000円)
 2012 21日 $0.125 (同 1TB12,500円)
 2012121日 $0.095 (同 1TB9,500円)
 2014 41日 $0.030 (同 1TB3,000円)

■どこまで使える?クラウドストレージ
と、ここまでコスト面を中心に話を進めてみましたが、このストレージは実際に会社のネットワークから離れた外部から利用することとなりますので、利用環境についての変化に対してどのように対応するか、もしくは考え方を変えるかを踏まえた上での検討となります。

実用上一番気になる点として「どのぐらいのアクセススピードが出るのか?」という疑問があります。弊社社内で以前調査をした時、以下のAWSにおけるベンチマークを取得していますので、こちらを元に考えてみましょう。



各々の接続環境について、上から3つまでの「ネットワーク」経由のストレージはAWS上に作成したWindowsサーバに対するファイル共有における実績。一番下の「iSCSIストレージ」は内臓ディスクと同様の環境。Best Effortのネットワーク回線では明確にディスクアクセスのスピードが異なることがわかります。

またこれはテスト環境へ少人数でのアクセスした場合における速度ですので、多人数でのファイル共有の環境となると、同時接続数の増加におけるパフォーマンス劣化も考慮する必要があります。その他にも、そもそもインターネット回線経由の場合はインターネット回線自体もメンテナンス作業による一時サービス停止の発生が起こることなども運用上抑えなければならないポイントです。

とはいえ、例えば夜間の定期バックアップの保管先をクラウドストレージにするならば、転送完了時間の要件が合えばBest Efrort回線でも十分という判断もあります。またBest Effortでも使用するファイルサイズが1MB以下のOfficeドキュメントである場合、体感上クラウドストレージでのファイル共有で全く不便を感じない、という声もあります。

大きなコストメリットが得られることは明らかでありながらも、実際に利用メリットも享受できるようにするには、利用シーンによってどのようなインフラ(ネットワークを含む)を用意するか?利用者も巻き込んだ運用をするか?の事前の検討が重要です。導入後に高い利用者評価を得るためにも、クラウドストレージがパフォーマンスを発揮しやすくするための要件確認やベンチマーク実測を、クラウドらしく「使いながら試してみる」ことが理想の進め方ともいえます。

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