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2014年10月20日月曜日

何が違う?「クラウド」と「データセンター」 ~インフラが「サービス」になる5つのポイント~

 最近立て続けにクラウドインフラの本が出版されているので改めて勉強しなおしている熊谷です。一応以前は技術者でしたが、アプリケーション側の技術中心に積み重ねていましたので、インフラ系の技術についてはまだまだわからないことも沢山あります。特にインフラのビジネスが集約されているクラウドには、データセンターの中で働いてみなければつかめないノウハウが沢山あるのだな、と実感しています。
 今回はその私が感じてきたインフラとしてのクラウドとデータセンターの話です。


■クラウドについて問合せをしたら、床面積の説明をされた話
 エンタープライズにパブリッククラウドが浸透してきたこの3年で「クラウド」の見方が随分変わってきたな、と感じているのが掲題の話です。
 その3年ほど前の話。弊社でクラウドビジネスにについて話を集め始めた時に多くのIDCやSIerに問合せをしてきましたが、その時に紹介されるのが大体どこでも以下の話。

  • 床面積と立地条件: 東京都心部からどのぐらい離れ、どの程度立地基盤が強固なところで、どのぐらいのラックを置くことができる敷地面積があるのか
  • 電源系統: 特に2011年頃は震災後の余波もあり電源供給の不安もあり、自家発電の仕組みや蓄電の体制がどの程度充実しているか
  • 管理体制: 要員を含めてどのような集中管理体制、セキュリティ、防火防災体制をとっているか

 ・・・というようなことをいくつも説明を受け続けていると「あぁ、IaaSとはデータセンターの中身でサービスが決まるのだな」と理解するようになってきます。
 パブリッククラウドが浸透している今、この時の振り返ってみると、使っているIaaSについて「どこにある?電源は?管理体制は?」というところから議論することはほとんどありません。皆さんAWSでもAzureでもニフティクラウドでも、どんなインフラになっているかご存知ですか?


■インフラ志向、サービス志向の間にある5つの違い
 このようにクラウドについての認識が変わったのは何か?データセンターにとっては依然としてその立地基盤や電源設備が重要であるのには代わりありません。パブリッククラウドという「サービス」として提供する形態により、従来のホスティングサービスとは以下のような違いが出てきたことで、利用者への説明が変わってきていることにあります。
 データセンターが提供するクラウド(主に個社向けのプライベートクラウド)を「インフラ志向」、パブリッククラウドを「サービス志向」とするならば、それをまとめると以下の5点のポイントが挙げられます。

  1. 「サービスレベル(SLA)」: データセンターにおけるSLAは「このサービスレベルを品質として守る」という内容のものですが、クラウドは「このサービスレベル提供を目標とし、できない場合は規定に応じて返金する」という努力目標の意識が説明の前提です。
  2. 「設備公開と監査対応」: データセンターが立地条件や内部設備について十分な説明を行い、利用者から預かるしシステムの監査対応に個別に応じるのに対して、クラウドはそのようなシステムをターゲットとせず、大抵のサービスはその内部仕様を非公開にしています。
  3. 「サービス利用料」: データセンターは事前に利用するサービス内容を確定の上で使用料を定めるため、設備変更時には変更手数料が発生します。クラウドは既に一般的なっていますが、利用したサービスの使用時間などに応じて従量課金の使用料が後から発生しる仕組みです。
  4. 「契約」: データセンターは事前に決めたサービスを利用者と事業者の合意と取り、契約書面を通し利用が始まりますが、クラウドは約款となるため事業者側の都合で勝手にサービス内容が変わることもあります。逆に言うとクラウドは事業者が始めた新しいサービスを追加契約なしで速やかに使うことができます。
  5. 「サービスコンセプト」: そもそも上記4点の違いは、データセンターが「インフラを落とさないことを前提」とした保守的な側面があるのに対し、パブリッククラウドは「インフラが落ちること前提で、落ちたらサービスの範疇でリカバリーする」というサービス志向に立っています。

 エンタープライズのシステムは全てがクラウドに向かう訳ではなく、今後もデータセンターに向いているシステムも残り続けるでしょう。それはメインフレーム中心で組まれていたシステムがWindows、Linuxなどのオープンプラットフォームに全て向かわず、今でも多くの汎用機が稼働し続けているのと同じです。
 ただクラウドは確実にインフラ選択におけるパラダイムシフトの大きな波を作っており、データセンターとクラウドの狭間で、適切なインフラの選択とは何か?の議論が今後続くと思われます。利用者の方には上記5つのポイントの違いの認識に立った上で、システム移行の選定に間違いがでないようにする見極めが必要であることを理解頂きたく思います。

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