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2014年12月14日日曜日

クラウドと自動化の話 ~ロボット、職人、技術者の未来~

 NHKの衆院選速報を見ながらこのブログを書いている熊谷です。
 最近TVをほとんど見ない生活になっていますが、今日は最近たまたま目にした日曜朝のNHKの番組からの話題です。

 ヒトとロボット 共生時代がやってきた(NHK サキドリ! 2014年12月7日放送)
 http://www.nhk.or.jp/sakidori/backnumber/141207.html

●「ピペット奴隷」を解放する救世主

「人間の代わりにロボットが入ることで活動支援する」という内容はそれほど目新しくはないと思いますが、この番組は最近のロボットは「これは人間でなければできない」と思われていた活動にも入りつつあるという特集です。

 中でも特に印象に残っていたのは、「実験の達人が"奴隷"を解放!?」というタイトルにある研究所のロボットについて。薬の開発を行う現場において従来研究員が行っていた薬品の配合作業を、「まほろくん」というロボットが行うようになったという話です。

 このまほろくんによって、研究員たちは、つらい作業から解放されました。それは、小さな容器に薬品などの液体を同じ量ずつ入れるというもの。何千回も繰り返すこともあるのだそうです。この作業に使う「ピペット」という道具から「ピペット奴隷」などという言葉まであるほどです。
 この作業は単純ですが、人間にとっては精度の高いデータを求めて神経をすり減らすつらい作業...。しかし!まほろくんは、同じ量の液体を小さな容器の中に次々と正確に落としてきます。何十時間作業を続けても、飽きることも、疲れを訴えることもありません。

●「職人」の進化を求める研究の現場

おりしも先日ノーベル賞の授賞式があり日本の技術者3名が出席して栄誉を授かったところですが、研究者がその成果を出すまでの道のりは地道な試験の繰り返しです。研究職という高度で専門的な教育を受けた人材でありながらも、成果のために繰り返し単純作業御行わなければならず、ある意味不毛ととらわれていることが、この「ピペット奴隷」という言葉に現れていると思います。
 その昔をたどると、黄熱病の研究で有名なかの野口英世は、ビーカーやピペットにあふれる研究所で高速に手際よく研究を進めることができる「職人」だったそうです。第一次世界大戦前にノーベル賞候補に何度となくノミネートされた彼の研究成果の高さは膨大な実験回数に裏打ちされたものだそうですが、その半面休まず研究を続ける続ける彼はアメリカにおいて「実験マシーン」とも評されたそうです(※1)。
 ただ1920年代に活躍した野口英世と90年後の現代では、既に情報伝達のスピードも研究競争の激しさも全く異なります。実際このTV番組に出た研究室も、ロボットを採用する意味は以下にあるとコメントされています。

 「ロボットが精度良くやってくれることによって、人間がより高付加価値な作業、データを解析したり、あるいは解釈したり、それを表現したり、そういうことをする時間を生み出す事ができます。それによって研究が大幅に加速します。」

 つまり野口英世のような「職人」作業はロボットが代行してくれる。いや、恐らく人間よりもより高速で高精度な単純作業をロボット頼むことができるので、より研究内容を高めようとしているのが、現代の研究の現場の期待であると伺えます。


●自動化が生み出す「産業革命」

さてこのブログをご覧になっているIT技術者、関係者の皆様。上記の話の背景に身に覚えのある経験がございませんか?

 企業のITシステム部門はコンピュータに関する専門の知識を持つ部隊です。ところがシステム運用保守のオペレーション業務を中心に、属人的で硬直化した作業から離れられず、結果的に利用部門から「ITシステム部門は融通が利かないと評価される」という声をよく耳にします。
 それは今のところ「職人」の存在によりうまく成り立っている部分もあるのかもしれません。しかし実は業務の見直しが長らくされていないために単に進化が止まっているのであれば、職人的な作業が成長を妨げている要因とも見えます。なにより実は、その業務を行っている人が「システム運用の奴隷」と実感しているのかもしれません。

 クラウドは「調達の迅速さ」「構成変更の柔軟さ」といった機能的な仕組み以外にも、インフラのAPIを屈指してサーバ監視と復旧手順を連動させる「運用の自動化」を実現することが可能です。
 そして自動化によりプロセスの可視化をしながら、属人的な業務を排除し、より高度なシステム運用とサービス企画を進めるための鍵となると思います。「ロボット的」な定型・単純作業は、それが得意なクラウドに任せてしまえばよいからです。

 最後に、2014年6月に改定された日本国の成長戦略には「社会的な課題解決に向けたロボット革命の実現」という項目が追加され、少子高齢化に向かう日本で新たな成長を促すための取り組みにすると宣言されています。この衆議院議員総選挙後にどのように推進されるか注目したいと思います。

「日本再興戦略」改訂 2014 -未来への挑戦-
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/honbun2JP.pdf
首相官邸 - ロボット革命の実現は成長戦略の大きな柱です。(首相官邸Facebookより)
https://www.facebook.com/sourikantei/posts/504721576294273

※1:「最後の細菌の狩人」野口英世(世界が尊敬した日本人⑦)
http://maechan.sakura.ne.jp/japanese_r/data/07.pdf

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