Pages

2015年2月16日月曜日

コンピュータによる自動化ってどこまで進むの? 〜「演繹法」と「帰納法」〜

Be.Cloud通信戌亥です。

最近、「コンピュータにより人間の仕事が奪われる」というような記事をよく見かけます。
私は、「奪われる」という言葉があまり好きではありません。そこで、「自動化される」という言葉を使いたいと思います。
また、この「奪われる」という言葉と一緒によく語られるのが「人工知能」という言葉です。この言葉もあまり好きではありません。人間の知能を模倣してなんの意味があるのでしょうか?もちろん、人間の知能と同じ様な働きをしたコンピュータによってもたらされるアウトプットには興味があります。

前回のブログ(『コンピュータによる「自動化」ってどこまで進むの?〜「チューリングテスト」〜』)の中のチューリングテストはまさにそこがポイントであると思います。チューリングは知性を持ったコンピュータとは、アウトプットをもって評価して、人間と区別がつくか?ということを判断基準としています。

さて、コンピュータによって様々な職業が「自動化」されていくのでしょうか?答えは「Yes」です。この部分は皆さんも同意されるのではないでしょうか?これまでも、様々な自動化が進んできました。今や工場にはあまり人がいません。殆どの作業は人間が作ったロボットがやってくれています。

しかし、私が今回書きたいのはそのような仕事ではありません。人間のしかも知的レベルの高い人たちがやっていた仕事が「自動化」されると言われてます。1997年にIBMのディープブルーというコンピュータがチェスの名人を破りました。もちろんチェスの名人の仕事が「奪われる」とは思いません。しかし、そのアウトプットは評価するに値するものです。2013年にはコンピュータ将棋がプロの棋士に勝ちました。将棋はチェスよりもはるかに難しいと言われていたにも関わらずです。

問題解決の方法として、演繹法(えんきほう)と帰納法というのがあります。人間はこの2つを使って推論をします。

演繹法とは既知の事実(ルールやモデル)を使って、三段論法で推論をします。数学でいうと、定理を使って計算や証明をするようなものです。例えば人口の予測は出生率と死亡率をパラメータとしたマルサスモデルにより計算されます。実際にこのモデルで2000年時点で予測された、2005年までの日本の人口は約300前後の誤差で予測されています。しかし、この欠点は、原理が間違っていると、全ての推論が間違ってしまうことになります。天動説なんかはその一つの事例ですね。

帰納法は経験値から導き出す推論です。様々なデータをもとに統計学などを使い予測します。人類は先ずは経験値からいろいろなことを学びます。天動説は哲学や宗教的なことだけで主張された訳ではなく、様々なデータを分析した結果、それが正しいと示す事実があったからです。しかしそれでは説明がつかないことがある為、ケプラーが地動説で証明したわけですよね。

人間は「経験」→「ルール・モデル化」→「別の事象を推論」でものごとを整理していくわけですが、整理したルールが間違っているかどうかも人間が判断して、別のモデルを考え、そしてそれを証明し、それによって別の事象を推論していきながら学んでいます。これにより、「ルール・モデル化」の精度があがり、それが他の「ルール・モデル化」の発見につながりながらイノベーションを繰り返しています。

コンピュータもそれに近いことを始めています。実際に、1997年にチェスの名人を破ったコンピュータや2013年の電王戦(プロ棋士対コンピュータ将棋の戦い)はこの帰納法的な推論を使って、勝負をしているらしいです。これまでのプロの対局の棋譜(対局のすべての手順を記録したもの)をコンピュータに入力しておけば、コンピュータが勝手に推論して、次の一手を見つけるのだそうです。この棋譜が多ければ多いほど、コンピュータは正確に推論するそうです。コンピュータ将棋を開発した人も、何故勝てたのかはよくわからないと言っているとか。

これは今までのデータを元に特徴をつかんで予測をする方法である為、データが少なかったり、少ないデータの元で予測するのは難しいそうです。コンピュータ将棋でいうと、プロの試合では殆どのケースで入玉(味方の王将が相手の陣地にはいること)が行われない為、データが少なく不得意と言われているそうです。

ここに来て、帰納法的な推論のもとに機会学習をするコンピュータが話題に上っているのはビッグデータが理由であると言われています。1997年にデープブルーがチェスの名人を破って以来20年近い年月がすぎているわけですが、ビッグデータが加わって、その威力が発揮されてきたという事でしょうか?

「コンピュータが仕事を奪う」の著者新井紀子さんはこれを「テラを聞いて十を知る」という言葉で表現しております。



参考文献:コンピュータが仕事を奪う(著者:新井紀子)


0 コメント:

コメントを投稿